ゲームプランニングとプレイングのスキルは分けて考えるべきだという話
ポケモンカードに限りませんが、カードゲームのトーナメントシーンで強くなるには、以下の4つのレイヤーで自分のスキルを捉える必要があると考えています。
1. 環境分析
2. デッキの構築(選択)
3. ゲームプランニング
4. プレイング
環境分析と構築とプレイングはよく耳にしますが、ゲームプランニングはそれと比べるとあまり言及されません。おそらく「プレイング」のカテゴリと混ざっているのだと思います。
ただ明確にプレイングのスキルとゲームプランニングのスキルは別物だと感じたことがありました。皆さんご存知のとーしんさん( 16年度世界チャンピオン)の発言です。
先日行われた日本選手権で、ベスト8に進んだとーしんさんがグソクムシャGX+ジュナイパーGXでガメスボルケを下しました。非常に不利というか、普通ならば勝つ気も失せるようなこのマッチングで彼はどのように勝ったのか。Twitterでとーしんさん自身が下記のように語っています。
対戦相手の初手のポケモンがボルケニオンEXでした、まずとても不利なマッチアップなのでかなり大胆に対戦していかないと行けません。こっちのデッキはコンプレッサーと活力剤が軸なので何枚の活力剤をリカバリー要因に回すか、逆に言えば何枚まで最初の盤面展開に使うべきか考えました 続きます
— とーしん@kyabet#1538 (@1483toushin3069) 2017年6月26日
グソクムシャGXはこの試合1発で持っていかれるため、サイドの埋まり具合次第ですが2枚活力剤を残した状態で最初の出会い頭になるべくいきたいなと、サイドプランとしてはボルケニオンEX→ボルケニオンEX→シェイミEXとパワーヒーターなどを無視してとるのがもっともメインな考えで 続きます
— とーしん@kyabet#1538 (@1483toushin3069) 2017年6月26日
エンテイが入っていた場合は、サイドレースで離されないためにジュナイパーとカプコケコの打点でどうにかサイドをとるしかありませんでした、打点としては1ターン目にジュナイパーが1体 20 次のターンもう一体で 40 に出会い頭をあわせて180 次のターンこだわり出会い頭+2回で180
— とーしん@kyabet#1538 (@1483toushin3069) 2017年6月26日
最後にグズマでシェイミEXをとって勝つ、というプランで山札の確認に入りました、カプテテフ、シェイミのサイド落ちはなく、グズマ、プラターヌ博士、フクスロー、草エネルギー、活力剤がサイドにあることがわかりました、カプコケコ、軽石も全部山にあったので影響が大きそうなのはフクスローだけ
— とーしん@kyabet#1538 (@1483toushin3069) 2017年6月26日
W無色が2枚とも山にあることもあって、テテフで殴る、カプコケコで撒く等のサブプランも柔軟にとれそうだと判断しジュナイパーの一匹目をたてに行くことを優先しました、森が最初のハンドにあったのでそこはかなりスムーズにいけるはずと考えていました、ただゲーム後半にグズマシェイミEX出会い頭
— とーしん@kyabet#1538 (@1483toushin3069) 2017年6月26日
を決めたいと考えていたのでシェイミは山のなかになるべく残しておきたいと思いました、また相手のスタジアムはスカイフィールドのためなるべく初手でフクスローまでなっておくこと、コソクムシを2体だしておくこと、でスカイフィールドを森でトラッシュしないプレイができるのでシェイミが場に残る
— とーしん@kyabet#1538 (@1483toushin3069) 2017年6月26日
ここら辺に僕の勝機があるとして対戦をスタートしました、あとは1戦目の段階で他のところに勝機がないか次の試合で役に立ちそうな情報は一つも落とさないように対戦相手のデッキの中身を逐一確認しようと決めました
— とーしん@kyabet#1538 (@1483toushin3069) 2017年6月26日
長文失礼いたしました
ここで彼が述べているのはゲームプランニングの話にほかなりません。なぜなら最後のツイートまで行ってようやく「対戦がスタート」するからです。プレイを始める前の話なのわけで、これはプレイングとは切り離して考えるべき話だと言えます。
ではプレイングとは何か。最初に立てたゲームプランニング通りに実際のカードをプレイし、状況に応じてプランの修正をする能力だと思います。
プレイングはまさに実際の対戦の中で磨かれるスキルです。車の運転で言えば思ったとおりに車を動かせる能力です。一方のゲームプランニングは、どの道をどう通って目的に行くかというルート設計にあたります。この能力は闇雲に車を運転しても身につきません。ドライビングテクニックは付くかもしれませんが、事前に考えたルート(=仮説)が無ければ、自分のルート設計が正しかったのか間違っていたのかもわかりません。ひたすらその場の判断でてきとうな道を進むことになり、いくら運転しても効率的に目的地にたどり着くルートを考える能力は身につきません。
カードにおいても、対戦前にあらかじめ「このデッキにあたったらこう」というゲームプランが必要です。もちろん、実際の対戦を経ないとそのプランが正しいのかはわかりませんが、事前に組まないことには検証もできません。
一口に練習と言っても、自分の環境分析が正しいのかを証明すること、構築が正しかったのかを証明すること、ゲームプランニングの精度を上げること、プレイング技術を磨くこと、その目的がどれなのかによって事前の準備もやり方も違うでしょう。これらを意識せずに数だけこなしても、終わった後に得るものが無い気がします。
もちろん大型大会に出ることは、これらのスキルをいっぺんに磨くことが出来るので、まずは出ることが大事だと思います。本戦勝てる自身がないという人もまずは出ることできっと得るものがあるんだと感じました。